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「Webマーケティングはやめとけ」。転職先として調べ始めると、この種の警告が必ず目に入ります。先に結論を言えば、やめとけ論は本当の部分と誇張された部分が混ざったまま流通しています。
この記事では、異業種から未経験で事業会社のマーケティング職に転職し、現在はマーケティングマネージャーを務める筆者が、よくある否定論を7つに整理し、ひとつずつ「事実/半分事実/誤解」に仕分けます。擁護はしません。本当にきつい部分は、きついと書きます。
この記事の結論
「やめとけ」の中身は一枚岩ではありません。仕分けると3層に分かれます。
- 成果責任と作業の地味さは「事実」。ここが嫌なら本当に向いていない
- 激務・給料・スキルの陳腐化は「半分事実」。働く場所と職域の選び方で大きく変わる
- 「飽和してもう遅い」「AIに置き換わる」は、市場データと仕事の構造から見て誇張
- やめとけ論の正しい使い方は、業界の否定ではなく自分の適性テスト
「Webマーケティングはやめとけ」と言われる7つの理由
検索や口コミで繰り返される否定論は、集約するとほぼ次の7つに収まります。それぞれの検証結果を先に示します。
| よくある否定論 | 検証結果 |
|---|---|
| 成果に追われ続けてきつい | 事実 |
| 仕事が地味で、華やかさがない | 事実 |
| 残業が多い・激務になりやすい | 半分事実(働く場所の構造による) |
| 給料が上がりにくい | 半分事実(入口とその後を分けて考える) |
| 覚えることが多く、スキルがすぐ古くなる | 半分事実(古くなるのは操作だけ) |
| 飽和していて、いまから入っても遅い | 誤解(市場データと合わない) |
| AIに置き換えられてなくなる | 誤解(ただし条件つき) |
見ての通り、全部に反論するつもりはありません。むしろ最初の2つは、否定論のほうが実態に近い。順に見ていきます。
【事実】成果責任と地味さ——「きつい」の核心は本当
先に認めます。この2つは事実です。ここを薄めて伝える記事のほうが不誠実だと筆者は考えています。
成果に追われるのは本当
Webマーケの成果は毎日数字で出ます。広告の獲得単価、検索順位、売上。良くても悪くても翌朝には見えていて、隠れる場所がありません。プロセスの頑張りではなく、結果で評価される仕事です。
しかも打ち手の多くは外れます。外れた原因を探し、直して、また試す。つまり、うまくいっていない期間を数字に晒されながら過ごすのがこの仕事の日常です。「成果に追われてきつい」は誇張ではなく、職種の性質そのもの。ここを甘く見て入ると続きません。
実務の大半は地味な検証作業
「バズる企画を生み出す華やかな仕事」というイメージも、実態とは逆です。実務の大半は数字の確認と小さな改善の積み重ねで、管理画面と表計算ソフトに向き合う時間が長い。劇的な一発逆転は、めったにありません。
どの職域で毎日何をするのかは、Webマーケティングの仕事内容に職域マップと1日の流れとして書きました。「地味できつい」と感じるか「検証が面白い」と感じるか——分かれ目はこの日常を面白がれるかどうかで、後述する適性の線引きにそのままつながります。
【半分事実】激務・給料・陳腐化は条件で変わる
この3つは嘘ではありません。ただし、条件を省いて一般化した話です。条件を戻すと見え方が変わります。
「残業が多い・激務」は働く場所の構造で決まる
クライアントの施策を請け負う支援会社(広告代理店など)は、複数案件の並行と報告・提案の締切が重なる構造上、繁忙になりやすい。一方、自社の商品を伸ばす事業会社は、自社事業のリズムで動けるぶん波の立ち方が違います。同じ職種でも、どちらに立つかで働き方は大きく変わり、当然ながら会社ごとの差もあります。
「Webマーケ=激務」と一括りにする言説は、この構造の違いを無視しています。きつさを避けたいなら、職種を諦めるのではなく入口を選ぶのが正解です。
「給料が上がりにくい」は入口と数年後を混ぜた話
未経験者の入口の給与水準が控えめになりやすいのは事実です。ただこれは、教育を前提に人を採る職種に共通の構造で、Webマーケに限った話ではありません。
一方でこの仕事は、やったことが数字で残ります。「どの数字を、何をして、どれだけ動かしたか」を次の職場に持ち運べるため、経験を積んだあとの昇進や転職で差がつきやすい。入口の水準だけを見て「上がらない職種」と結論づけるのは早計です。筆者自身、未経験転職で年収は上がった側ですが、これは前職の経験との接続や入口の選び方に左右されるもので、誰でもそうなるとは書きません。
「スキルがすぐ古くなる」——古くなるのは操作、残るのは判断
ツールの管理画面、検索エンジンやSNSのアルゴリズム、流行のプラットフォーム。表層が変わり続けるのは事実で、学び続けることが前提の職種であることは認めます。勉強を終わらせたい人には向きません。
ただし、変わるのは操作です。仮説を立て、試し、数字で確かめるという仕事の芯は、道具が入れ替わっても変わりません。むしろ道具が入れ替わるたびに、芯を持っている人と操作しか知らない人の差が開いていく。陳腐化を恐れる必要があるのは後者だけです。
【誤解】「もう遅い」「AIに置き換わる」をデータと構造で見る
残る2つは、市場の数字と仕事の構造に照らすと誇張だと分かります。ここは根拠を挙げて相対化します。
「飽和していてもう遅い」は市場データと合わない
まずデータから。企業がWebの集客・販売に投じる費用は、いまも増え続けています。
2025年の日本のインターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)。総広告費8兆623億円に占める構成比は50.2%となり、初めて過半数に達した。
出典: 電通 ニュースリリース「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日発表/2026年9月14日取得)
広告費全体の半分をインターネットが占めるところまで来て、なお前年比2桁の伸び。この予算を設計し、運用し、検証する人への需要の土台は、縮むどころか広がっています。「もう遅い」という言葉自体がずっと前から繰り返されてきましたが、その間も市場は拡大してきた——これが実際の経過です。
「未経験の枠が少ない」という声も同根ですが、正確には入口の広さが職域によって違うだけです。広告運用のように教育を前提とした採用が成立している職域もあれば、経験者で埋まりやすい職域もある。ゼロではなく、偏っているのです。
ただし注意点をひとつ。市場が伸びていることと、未経験者が楽に入れることは別問題です。志望者も多い職種なので、選考の比較は決して緩くない。「遅くはないが、楽でもない」が正確な表現です。
「AIに置き換わる」は、作業と判断を分ければ答えが出る
AIが得意なのは、広告文の量産、入札の自動調整、レポートの集計といった作業のほうです。そしてこの種の自動化は、生成AIブームのずっと前から進んでいました。広告の入札は長年、機械に任せる方向に動いてきた領域です。それでこの職種は消えたか? 消えていません。中身が「手を動かして設定する」から「何を任せ、結果をどう判断するか」へ寄っただけです。
置き換えられやすいのは、作業だけをしている人です。何を課題と見立てるか、どの打ち手に賭けるか、出てきた数字をどう解釈するか——この判断は自社の事業や顧客の文脈を理解していないと下せず、ここが仕事の本体として残ります。
だから正確に言えば、「AIでなくなる仕事」ではなく「AIを使う側に回らないときつくなる仕事」。これから入る人にとっては、脅威というより前提条件です。最初からAIを道具として使う働き方で入ればいい。
向いていない人・向いている人の線引き
ここまでの仕分けを裏返すと、そのまま適性の線引きになります。きれいごと抜きで並べます。
| 向いていない人 | 向いている人 |
|---|---|
| 数字で評価されること自体がストレス | 数字が動いた理由を探すのが面白い |
| 正解を教わってから動きたい | 外れる前提で試して、直すのが苦にならない |
| 勉強はどこかで終わらせたい | 道具が変わっても芯は同じ、と割り切れる |
左の列に心当たりが多いなら、この職種はやめておいたほうがいい——それは立派な判断です。やめとけ論の正しい使い方は、業界を丸ごと否定することではなく、自分の適性を測る物差しにすること。合わない仕事を選考の前に避けられたなら、この検索には十分な意味がありました。
逆に「それでも面白そうだ」と感じたなら、その感覚がどこから来たのかを言語化しておいてください。そこで言葉にしたものが、そのまま選考で語る動機の核になります。組み立て方は未経験からのWebマーケティング志望動機の作り方に、NG例と構成テンプレートつきで整理しました。
まとめ——「やめとけ」は結論ではなく判断材料
仕分けを要約します。成果責任と地味さは事実。激務・給料・陳腐化は、働く場所と職域の選び方で変わる半分事実。「もう遅い」「AIに置き換わる」は、市場データと仕事の構造から見れば誇張です。
筆者は異業種から未経験でこの仕事に入り、いまも続けています。きつさは事実です。それでも、外れた打ち手の理由を探すことを面白がれる人には、経歴に関係なく開かれた仕事だと考えています。
進むと決めたなら、次に必要なのは気合いではなく手順です。狙う職域の絞り方から経歴の棚卸し、入口の選び方までは、未経験からWebマーケティング職へ転職するロードマップに5つのステップで書きました。
この記事を書いた人
キャリアスイッチラボ編集長——異業種から未経験で事業会社のマーケティング職へ転職し、4年目でマーケティングマネージャーに。転職活動では複数社のエージェント面談を経験。未経験側の視点で、出典を明記できる情報だけを記事にしています。プロフィール詳細


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